2018年6月末頃に、一つのニュースがIT関連ニュースを騒がせました。それは…
「公正取引委員会が、au、ソフトバンク両社に対し不当なユーザーの囲い込みに抵触している可能性がある」と、報じられたのが原因です。
その囲い込みというのが、いわゆる4年縛りと言われている契約。
正確にはauはアップグレードプログラムEX、ソフトバンクは半額サポートと呼ばれるオプションなのですが、4年縛りという言葉が先行して、どういった内容なのかよく分からない方もいらっしゃるかと思います。
今回は、その4年縛りのオプションの概要と背景をお伝えします。
4年縛りと言われているオプションは何か
まずは4年縛りと言われているオプションの概要を知る必要がありますが
実はどちらもかなり似ているオプションですので、概要と問題点をお伝えします。
auはアップグレードプログラムEXが、ソフトバンクは半額サポートが、今回の警告の対象です。
まずどちらの共通点として以下の点が挙げられます。
- 48回の分割支払で携帯電話を購入する。(一ヶ月の支払いが48回、即ち4年支払う契約)
- 24回の支払い終了後、つまり2年後に機種変更することで残りの分割代金は免除される。
- 古い携帯電話は下取りされ、回収される。
「元々の機種代金が免除されるし、古い機種は使わないから回収してくれるのは問題ない。何も問題ないのでは?」と、一見すると思いますが、実は重要なのが一つ。
・機種変更時の新端末には、同じオプション(アップグレードプログラムEXか半額サポート)に加入する必要がある。
この点が4年縛りに当たり、ユーザーの囲い込みにつながっていると警告を受けた部分です。
つまり2年以降に機種変更する時に
・同じ携帯電話事業者で引き続き契約しないと、今までの端末代金が免除されない。
・最も免除額が大きいのは2年時で、更に月日が経てば免除額は少なくなる。つまり2年毎に機種を変えた方がお得感は強い。
・だが新しい機種で同じオプションなので、結局はどこかの機種で支払いが完了する事になる
もちろんMNPや解約等する場合は、残りの端末料金を支払う必要があります。
まとめて見ると、なかなかエゲツないオプションですね…。
背景には依然続く3社の寡占状況を打破したい意向がある
背景には継続している大手三社の寡占状態を打破し、競争原理を働かせたい総務省の意向があります。
一時期の勢いは落ち着いたものの、格安MVNO事業者も引き続き健闘していますし、第四の携帯電話事業者と言われた楽天モバイルが参入しています。
ですが、三社の牙城を崩せる程ではなく、逆に料金の安さは新しい料金プランや今回の縛りで安くして対抗し、充実したサポート内容や大手のブランド力で盛り返しています。
寡占状態だった携帯電話事業者をもっと競争させて、料金の低下やユーザーの移動でサービスの質等を上昇させるべき…
総務省が囲い込みのようなオプションに対して目を光らせているのは、こういった事情があるのです。
非公式ながらau側が見直し始めたという情報も
総務省が4年縛りに関して、警告を発した6月末からおよそ一ヶ月。
先日、7月27日には各種メディアにおいてauがスマホの4年縛りの契約を見直し始めたというニュースも出始めました。
念の為、auのお客様センターに問い合わせした所
「あくまでメディアの発表であり、au側の公式発表ではないが、何か変更や見直し等があれば公式ホームページ等で追ってお知らせします」
と、言った回答でした。
まだメディア側がスッパ抜いただけのようなので、今後の公式発表を待ちたいものです。
ユーザー側に利点はあるの?
最後に新規、既存のユーザーに4年縛りの見直しは何か利点はあるのか?と言われると以下のようになります。
- 長期間契約しなくても済むので、格安MVNO業者に切り替える事が柔軟に出来る。
- ユーザーを囲い込む柵の一つが無くなるので、更にサービスの提供や料金の低価格になりえる。
と、格安業者と競争せざるを得ないので、必然的にユーザーを逃さないようにサービスの質や料金等で勝負する事になるという事ですね。
ただし、これらの総務省と大手三社のやり取りは、イタチごっこの様相を示しています。
どれかで注意を受けたら、新しい料金プランやオプション等で埋め合わせをする…といった内容です。
「新規料金プラン開始!今までより安くなる!」
「○○のプランに加入すると格安業者より安く新規端末が買える!しかも大手のあの会社!」
と、大々的に宣伝を開始しますので、ついつい申し込みしがちですが
思わぬ所で縛りが入る事もあるので迂闊に契約する前に、きちんと内容を確認することには変わりは無いでしょう。